「君んとこの妹って料理とかすんの？」
「これがねえ。意外とすんのよ」
「そりゃ意外。君さんざん妹の悪口ばっか言ってるから何も出来ないのかと思った」
「しかも、お菓子作りが得意なんだよね」
「女の子らしくて良いじゃないか」
「甘いわ！」
「おわ、びっくりした。何よ急に大声出して」
「言っとくけどな。妹がお菓子作れたって良い事何にもないからね。むしろ何も出来ない方が余程マシだから」
「何でよ。何も出来ないよりかは作れる方がいいじゃん」
「まず大前提として、その作ったお菓子は必ずと言っていいほど家族には振る舞われないからね」
「･･････」
「くれたとしてもくれる前に『これ失敗したからあげる』って言って失敗したやつを押しつけてくんのよ。言うなればゴミ処理ね」
「･･････。でも本人が作ったやつなんだから別に誰にあげようが妹さんの勝手なんじゃないの？」
「それは後片付けとかもちゃんと自分でした場合だな」
「どういう事さ？」
「お菓子作りって作ってる時は良いかもしれんけど終わった後に結構洗い物とかゴミとか出んのよ」
「まあ、そうだろうね」
「妹はそれを絶対片づけていかないんだよね」
「･･････。でも、そこは兄らしくビシッと『片づけろ！』とか言えば良いんじゃない？」
「もちろん言ったさ。でも言ったら『お菓子作りで疲れたから無理』ってスルーされんのよ」
「･･････」
「そりゃ、その作ったお菓子を一つでもくれるなら『まあ、お菓子くれた訳だし後片付けくらいはするか』っていう気にもなるかもだけど、その作った菓子を家族には一つもくれないくせに後片付けは完全に放置して結局俺かオカンが泣く泣くする事になるって訳。どう？腹立たない？」
「･･････。まあね･･･」
「あんまり腹が立ったから、この前『ウチの食費使って誰だか解からん奴の為にお菓子なんか作りやがって』って嫌味言ってみたんだけど」
「そしたら？」
「『別に兄ちゃんが稼いだ金じゃ無いんだから関係ないじゃん』って正論で返された」
「そこは正論で返すんだ！自分が出した食器とかゴミの後片付けはしないのに」
「そんな風に妹は口げんかになると異様に強いから結局こっちの泣き寝入りしかないって訳。どう？妹に抱いてた幻想少しは崩れてくれた？」
「･･････。必要以上にね･･･」
続･･･かない。
