「あ”〜、あっつい・・・」
俺が余りの暑さに持ってきたアニメ柄のうちわで自分をあおいでいると横から呆れたような声がかけられた。
「アンタさっきからそればっかじゃない」
「でも暑いもんは暑いんだからしょうがないだろ。お前は暑くないのか?」
「ふっふーん。私は幽霊だからね。暑さ寒さは感じないのよ」
「うわ、せっこ!」
夏休み二日目。
俺は幽霊少女の幽美(ゆみ)と一緒に『未練探し』とやらをする為に学校に来ていた。
「だいたいアンタこんな美少女と一緒に居るんだから少しは嬉しそうな顔しなさいよ」
良くそんな自画自賛を自信満々に言えるな。
「わ〜嬉しいな〜」
俺がそうおざなりに言うと幽美は怖いくらいの笑顔になって、
「ねぇ。目の前でポルターガイストが起こるのって見てみたくない?」
「すいませんでした」
俺は即座に土下座した。
目の前で怪奇現象が起きるのは見たくない。
「じゃあ早速『未練探し』始めましょうか」
「おう!・・・って始めるのは良いけどさ。何か手がかりとかないのか?」
例え高校と言ってもウチの学校そこそこ広いからな。闇雲に探してちゃ時間がいくらあっても足らないだろう。
「そうね・・・。じゃあ、まずは保健室から行ってみましょうか」
「保健室?」
またえらくマイナー(?)なトコから行くな。普通は自分のクラスとかじゃないか?
俺の不思議そうな表情を見たのか幽美は、
「私、病気がちだったからさ。学校で一番良く通ってたトコが保健室だったのよ・・・」
そうだったのか。悪いこと聞いちゃったかな・・・って。
「お前、生きてた頃の記憶ってあるの?」
『未練』が何か分からないこその『未練探し』じゃなかったのか?
「うん。うっすらとだけどね。でも自分の『未練』が何だったのかは思い出せないんだよね」
「そうなのか」
まあ前途は多難だわな。
「じゃあ、とりあえず保健室から行ってみるか!」
「うん!」
こうして俺達の『未練探し』が開始されたのだった。
続く。